【銘柄紹介】実は株式会社!株主にもなれる!?日本取引所グループ(8697)が上場している理由とは?

こんにちは!
20代会社員投資家ブロガーのハマネコ(@hmnkbsnss_blog)です!
先日『金融の基本』(日本実業出版社、著:田渕直也)という本を読んでいたのですが、そこのコラムに興味深いことが掲載されていました。
なぜ日本取引所グループは民間企業で、かつ上場しているのか
確かに!!
と、ハマネコは思いました(笑)
極めて公共性が高い事業内容ですし、一見すると民間企業の目的である「営利追及」ともかけ離れているような気がします。
それがさらに上場しているとは??
と、この不可解さについて考えればキリがありません(笑)
そこで今回の記事では、日本取引所グループについて銘柄紹介を行った後に、「いったいなぜ民間企業の形を取り、かつ上場しているのか?」について迫っていこうと思います!
日本取引所グループ銘柄紹介

【銘柄概要】
名称:日本取引所グループ
証券コード:8697
上場区分:東証一部上場
業種:その他金融業
時価総額:1.27兆(2021年3月現在)
株主優待:100株以上で、1,000円~相当のクオカード(2021年3月現在)
ちゃんとした(失礼!)東証一部上場企業でした!(笑)
業種はインフラとかかなと思ったのですが、「その他金融業」に分類されるそうです。
時価総額は1.27兆円で、時価総額ランキングは113位です(2021年3月1日現在)。
東証一部上場が約3,000社ありますので、かなり上位の方ですね!
ちなみに有名どころで近いところだと、マキタ(1.31兆円)、かんぽ生命保険(1.26兆円)、ANAホールディングス(1.24兆円)、西日本旅客鉄道(1.23兆円)、味の素(1.17兆円)があります。
各業界の大手と呼ばれる企業に近い水準を誇りますね。
そして驚いたことに、株主優待制度まであります(笑)
「出張族の味方」ことクオカードですが、最初は100株ごとに1,000円相当となっています。
しかも保有期間が長ければ長いほど金額が上がるシステムであり、最大で3年以上継続すれば4,000円相当になります。
配当が52円ですので、2021年3月1日時点の終値で「実質配当利回り」を計算すると
(4,000+52×100)÷2,374×100=3.87%
と、4%近くなります(笑)
ちなみクオカード1,000円相当でも2.6%相当の「実質配当利回り」となるので、十分お得ですね(笑)
最後に、チャートを掲載しておきます↓

(楽天証券MarketSpeed2より)
楽天証券でデータが取れる2013年以降の月足チャートです。
右肩上がりですが、ほぼ日経平均やTOPIXと同じような形をしていますね。
後述しますが株の売買代金等が収益源ですので、金融市場の隆盛と会社の収益状況が一致するのでしょう。
日本取引所グループの事業内容は?
日本取引所グループ自体は持株会社であり、傘下に
- 東京証券取引所:株式市場
- 大阪証券取引所:先物・オプション市場
- 東京商品取引所:コモディティ市場
- 日本取引所自主規制法人:不正取引の防止業務
- 日本証券クリアリング機構:各取引の決済・清算
を抱えます。
主な収益源は金融市場からの手数料であり、内訳として(括弧内は営業収益に占める比率)
- 取引関連収益(39%):株やコモディティの売買による手数料
- 清算関連収益(21%):日本証券クリアリング機構の清算業務手数料
- 上場関連収益(12%):IPOや新株発行による手数料
- 情報関連収益(18%):情報ベンダーへの情報料など
となっています。
簡単に言えば「金融市場の維持に掛かる手数料」によって収益構造が成り立っており、金融市場が活性化すれば収益増、低迷すれば収益減となります。
先ほどのチャートでも見せたように、2013年以降はアベノミクス相場の影響で金融市場も活性化したため、株価も右肩上がりとなっていましたね!
日本取引所グループが上場している理由

さてここからが本題です。
日本取引所グループは、なぜ株式会社の形を取り、かつ上場しているのでしょうか?
冒頭でも紹介し、この記事を書くきっかけにもなった『金融の基本』によると
営利企業としての効率的な運営を取引所にもたらし、同時に上場企業として市場の監視を受けることが望ましいという考え方に基づいています。
田渕直哉著『金融の基本』(日本実業出版社、2019年、101頁)
とのことです。
これは古くは中曽根内閣の「電話・鉄道・タバコ」、近年では小泉内閣の「郵政民営化」の時も唱えられたように、「民営化することによって効率的な経営ができるようになる」という理論です。
国営事業は「(国が破綻しない限り)何があっても潰れない」という強みがありますが、これは「緩慢な経営をしても大丈夫!最後は国が助けてくれる!」という負のインセインティブを生んでしまうデメリットもあります。
国家の財政が苦しいことも相まって、バブル期以後の日本は様々な国営事業を民営化していきました。
日本取引所グループもご多分に漏れず、その中核である東京証券取引所は2001年に株式会社化。
2013年の大阪取引所との統合を経て、東証一部上場企業となりました(なお大阪取引所は、先行して2004年よりJASDAQに上場しています)。
日本取引所グループの上場は、ここ30年くらいの民営化トレンドの一環でもあったんですね。
ちなみに2022年より東京証券取引所内の上場区分が再編されることも、効率化&上場企業の新陳代謝を図るという意味で民営化の賜物ですね。
ただし、効率的な経営を求められた話はこれだけにはとどまりません。
日本取引所グループには実は「競争相手」がおり、業界の生き残りをかけた戦いの最中でもあるのです!
国際競争が過熱する取引所

日本取引所グループは、日本の金融市場を支えている国内唯一無二の存在のように思われます。
が、実は競争相手が存在するのです!
もちろん札幌・名古屋・福岡の地方取引所ではありません(もちろん「同業他社」という点ではあっているのですが、規模も性質も違いすぎて事実上競合相手にはなりません)。
それは、世界の各取引所です!
東証はほぼ日本企業で占められているので勘違いしがちですが、企業が上場する場合、上場先の取引所はどこでもいいのです!(もちろん、審査が通ればの話ですが)
必ずしも、「本社所在地や創業地の国の取引所で上場しなければいけない」というルールはありません。
また複数の取引所に上場することも可能です。
例えば世界で一番大きな取引所であるニューヨーク取引所(NYSE)には、ソニー・トヨタ・三菱UFJグループなど日系11社が上場しています。
この11社はもちろん東証一部にも上場していますから、重複上場という形になります。
さらに言えば、中国の検索エンジン大手百度(バイドゥ)はNASDAQに上場していますが、香港や上海といった中国の取引所には上場していません(笑)
そして取引所からすれば、上場企業が多くなるほど売買や決済時の手数料が増えますから、収益向上につながります。
実は証券取引所は高い公共性を持つとともに、ゴリゴリの営利企業としての顔も持つのです(笑)
さらに本筋とは異なるため今回は詳しく触れませんが、ヨーロッパでは取引所運営企業同士の買収提案なんかも起きています。
日本政府はかねてより「国際金融都市東京」を構想として掲げていますが、その課題の一つに「海外企業の東証への上場数が少ない」という点が挙げられます。
日本取引所グループも、いつまでも「日本市場だけやっていれば大丈夫」というスタンスではいられなくなりました。
他の民間企業と同じように、引き続き経営の効率化・収益向上を目指していくことでしょう。
もしかしたら、世界の名だたる企業の株を東証で売買できる日もやってくるかもしれません。
以上、「日本取引所グループが上昇している理由」でした!
なおこの記事を書いている最中に、新たな発見もありました(笑)
なんと、日本銀行も上場していたみたいです!(笑)(正確には、上のツイートにもある通り「出資証券」ですが)
意外なところが上場しているかと思いきや、サントリーのような大企業は非上場だったりもします。
株式市場って、面白いですね。
今回の記事を読んで少しでも興味を持ってくれたら、一投資家としても幸いです!
では!
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